
“笑いの仮面をかぶれ”
1981年、犯罪が多発する大都会ゴッサムシティ。ピエロの仕事をしているアーサーは貧しく、老いた母親ペニーと暮らす上、突然笑いだしてしまうという心の病に悩むが、TV界の人気司会者フランクリンを憧れの対象にして日々耐え忍んでいた。ある日、失業したアーサーは地下鉄で、女性客に嫌がらせをしていた男性3人組を偶然持っていた拳銃で皆殺しにしてしまう。以後アーサーは、自身の心にあった怒りを解放させていく。

シリーズ
ジョーカー シリーズ
配信で観た。夜中に一人で観たのは失敗だったかもしれない。観終わった後、部屋の空気がおかしくなっていた。重いとか暗いとかいう次元ではなく、何か有害なものを吸い込んでしまったような気分だった。
アーサー・フレック。笑いの発作を持つ、誰からも見えない男。母親の介護をしながらピエロの仕事をして、コメディアンを夢見ている。その全てが、一つずつ剥がされていく。社会福祉は打ち切られ、母の秘密が暴かれ、憧れの人間に裏切られる。転がり落ちていく過程を、カメラが至近距離で追いかける。逃げ場がない。観ている側にも。
ホアキン・フェニックスの身体。あの痩せ方は異常だった。肩甲骨が浮き出て、肋骨が数えられる。鏡の前で踊るシーン、あの身体の動きに目が離せなかった。美しいとも醜いとも言えない、ただ異様な存在感。人間の身体がここまで多くのことを語れるのかと思った。
階段のシーン。あの長い階段を、アーサーは映画の前半では重い足取りで登っていく。そしてジョーカーになった後、同じ階段を踊りながら降りてくる。ロック・ステディのリズムに乗って、煙草をくゆらせながら。あの対比がこの映画の全てを語っている。上ることが苦痛だった世界を、下ることで解放される男。
マレー・フランクリンのトーク番組のシーン。あの緊張感は尋常じゃなかった。何が起きるか分かっているのに、画面から目を逸らせない。アーサーの声が震えている。でもあの震えが、恐怖なのか興奮なのか分からない。その境界の崩壊を、ホアキンは完璧に演じ切った。
これはヒーロー映画ではない。悪役の誕生譚でもない。社会に存在しないことにされた人間が、暴力によって初めて「見えた」存在になる話だ。そのことの恐ろしさが、フィクションの枠を超えてこちらに迫ってくる。観終わった後、しばらく電気をつけたまま座っていた。
定額配信
Netflix
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HBO Max on U-Nextレンタル
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Google Play Movies購入
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Google Play Movies脚本
スコット・シルヴァー, トッド・フィリップス
音楽
Hildur Guðnadóttir
上映時間
2時間2分
ステータス
Released
公開日
2019-10-01
日本公開日
2019-10-04
予算
約82.5億円($55M)
興行収入
約1618.4億円($1.1B)
製作国
カナダ, アメリカ
制作会社
Warner Bros. Pictures, Joint Effort, Village Roadshow Pictures, Bron Studios, DC Films